吃音は仕事を選べ!吃音が理解を得られない理由と対処法【経験談】

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吃音を知っているだろうか?

わかりやすく言うと、いわゆる「どもり」のことで、現在は3種類の吃音が確認されている。

軽度~重度まで存在し、身体障害者手帳も取得できる、歴とした障害だ。

今回はそんな吃音を生まれてからずっと抱えながら生きている僕が体験した、「吃音症はこんな職場は辞めろ」を解説したいと思う。

吃音症だからといって、卑屈になることもないし、怯えることもない。

ただ、膨大なストレスを感じてまで仕事にしがみつく意味もない。

吃音で悩んでいる方、不安な方の助けになれば幸いだ。

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目次

吃音(きつおん)って?

吃音は、世間一般で言うところの「どもり」のことで、話し言葉がスムーズに出ない発話障害のひとつだ。

有名人でいえば、アメリカのバイデン大統領や、フリーアナウンサーの小倉さんなんかもそうだ。

症状は以下の3つがあって、

  • 難発:言葉を出せずに間が空いてしまう 例「…………からす」
  • 連発:音を何度も繰り返す 例「ぼ、ぼ、僕はおにぎりが好きなんだな」※裸の大将がそれ
  • 伸発:言葉を引き延ばす  例「かーーーらす」

が認められている。

ややこしいのが、これらのどれかひとつの症状が出るのではなくて、複雑に組み合わさったりしていることだ

僕の場合だと、連発が主症状であって、難発、伸発も言葉によっては起こる。

流ちょうに発話ができない症状が、吃音だ。

しかし現在、吃音の詳しい原因まではわかっていない。脳が影響しているんじゃないかな、という程度。

まだ研究段階で、具体的な改善方法が無いのも、吃音の大きな特徴だ。

吃音を治します! という教室は、よっぽど信頼できるところ以外はいかない方が良い。大体治らずにお金だけ飛んでいく。

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成人の100人に1人が吃音症

そんな吃音だが、

  • 発達性吃音
  • 獲得性吃音

に分類されている。そして、吃音のおおよそ9割は発達性吃音だとされている。

発達性吃音とはなんぞ? という人のために、以下にまとめておく。

  • 幼児が2語文以上の複雑な発話を開始する時期に起きた
  • 幼児期(2~5歳)に発症する場合がほとんど(小学生以降もあり)
  • 吃音の発症率は、幼児期で8%前後
  • 発症率に国や言語による差はほとんどない
  • 吃音を発症している人は、全人口において0.8%前後
  • 男性に多く見られ、2~4:1の割あり
  • 体質的要因(遺伝的要因)、発達的要因(成長時の発達時期の影響)、環境要因(周囲の人間との関係や生活上のできごと)

なかなかに多いだろう?

自分の周りにはそんな人いないよ? という人は、単に気がついていないだけだ。

吃音で嫌な目に遭うことが増えてくると、人間「隠す」ことを覚える。吃音界ではそれを「工夫」と呼び、

  • 吃音になりそうな言葉を言い換える(語彙が増える)
  • 「えっと」や「んー」など使って吃音にならないタイミングを作る

などなど、方法は様々だ。みんな、気付かれないようにして生きている。隠れキリシタンかな?

獲得性吃音は、以下が分類される。

  • 神経学的疾患や脳損傷など
  • 心的なストレスや、外傷体験に続いて生じる

いずれも外部から何か刺激を与えられることによって起こる。そのため、発症時期は青年期(10代後半~)となる場合がほとんどだ。

特殊なケースと考えてくれていい。

注意して欲しいのが、子供は容易に吃音になるということ。

友達が吃音だったりして、それを真似しているだけで自分も吃音になったケースも存在する。

しかし、発症しても7~8割は自然に治るとされ、残りの2~3割はそのままだ。

ちなみに僕の場合は、遺伝的要因だろうと思われる(親世代の親族に吃音の人がいる)が、実際のところは不明だ。

吃音の人に言ってはいけないこと

なめらからに喋れる人が使いがちなのだが、

  • ゆっくり話したらいいよ
  • 笑う
  • 注意する

ことは禁止だ。

ゆっくり話しても吃音は出る。話す速度は微塵も関係ないからだ。

僕自身、幼少期に良く「ゆっくり話し!」とキレ気味に言われまくって、話すのが嫌になった。今でも苦手なのは、その記憶があるからだろう。

笑ったり注意されたりするのも、表面上は笑って誤魔化すものの、内心ではめちゃくちゃ不快だし傷ついている。

そのため、吃音にならない方法を見つけたら、それを繰り返す。

手を動かしたり体を叩いたりすることでスムーズに喋れるようになると、そればかり使うようになる(道具的学習)。

ただ、そういうのは僕も含めてなるべく人に言わないようにしているから、察してもいつも通りにしてくれればそれでいい。変に気を遣われる方がよっぽどしんどい。

吃音の人に対しての接し方は、

  • いつも通りに
  • 待つ

の2つだけでいい。それが何よりも救いになる。

吃音で実際に仕事で困ったこと

吃音を少しわかったところで、僕が実際に仕事をしていて困ったことを書いていこうと思う。

接客業、営業、人事、事務など様々な仕事をやってきたが、どれも「対人」が強い職種ばかりだ。

吃音を持っている人が、その職だとどう行動するのかの参考になれば幸いだ。

電話を取るとき

吃音で一番困ったのが、電話だ。

新人は電話を取らないといけないとかいう謎ルールが蔓延っているため、どうしても電話を取らないといけない。

その際、吃音にならない社名だったらいいが、社名をフルネームで言おうとすると、吃音になる言葉はほぼ間違いなく含まれる。

それらをどうやって回避するかが一番の難題だが、大体上手くいかない。

受話器の向こうで笑われたりすると、結構傷つく。ハートはズタボロだ。「何で上手く言えないんだ」って自己嫌悪のスパイラルに陥る。

じゃあ、そんな会社に就職しなければいいじゃないかと思うだろうが、そんなに簡単じゃない。

ある日急に吃音になったりするからだ。

それまでスムーズに言えていた言葉が、急に喋れなくなったりする

もちろん原因は不明。

ただ、一度喋れなくなると脳にインプットされるのか、その後もずっと言葉が出なくなる。

これを予期して会社を選ぶなんて不可能だ。

その場合は、心が潰れてしまう前に退職するか、自分が吃音であることをカミングアウトし、電話を出なくていいようにしてもらうなりしよう。

対処療法としては、以下を実践してみるといい。

  • 似たような言葉で誤魔化す 例:「ひ」を「ん」にして聞こえないように素早く発音する
  • 上司にカミングアウトする

カミングアウトしても出ないといけない時は出ないといけなかったりするので、完全に解放されるわけじゃないが、マシにはなる

僕は逃げた。

電話で話すとき

電話に出たら次は話さなければいけない。

これも苦痛だった。ただ、自分のペースで話せるから、まだマシだ。

吃音が出ないように言葉を選びながら喋る必要がある。

この際、良く使うのが「言葉を言い換える」だ。

吃音になりそうな言葉は何となくわかるので、それらを別の言葉に置き換える。類義語を使いまくるわけだ。

相手の名前を繰り返さないといけない時も、相手のペースに合わせてはいけない。

必ず自分のペースを守ること。

それだけで、吃音が出る可能性はぐっと下がる。

個人名を言うとき

僕は自分の名前をスムーズに言えない。

親から貰った名前をちゃんと言えないのは、何だか申し訳ない気持ちになるが、実際そうなのだから仕方がない。

吃音を持っている人にとって一番苦痛なのが、個人名だ。何しろ言い換えできない。

この場合も、自分のペースを守って話す以外に方法はない。

一瞬間を作ったりもいいだろう。

あなたが聞きやすいように言ってますよ? な感じでゆっくり言えば、経験上不快に感じられたことはない

周囲がスムーズに喋れる人ばかりだと、ついそれにつられてしまうが、自分は自分と思ってペースを乱さないように喋るのが肝心。

そうしなければ、脳がバグって確実に吃音が出る。

言葉が出ずに詰まったとき

心ない言葉を無意識にかけられる場合は非常に多い。

相手からしたら何気ない言葉でも、「言葉をちゃんと話せない」ことにとてつもないコンプレックスを抱いている人間にとっては、まさにクリティカルヒット。デスみたいなもんだ。

言葉が出なかった時は、

  • 考えているフリをする
  • 言葉を選んでいるフリをする

のどちらかで乗り切るしかない。

これは別に悪い部分がなく、そうして一呼吸置くことで相手が望む言葉を考えられるし、物事を俯瞰できたりもする。

必ずしも悪いことばかりではないので、実践するのをオススメしたい。

あの国民的グループ嵐の大野くんも、積極的に喋らないが、自分が発言する時の一言は大きかった。

それはみんなの発言を聞いた上で、どんな言葉が一番良いのかを考えていたからでもある。

吃音であることを最大限活かせば、破壊力の大きい一言で場を支配することもできる。プラスに考えよう。

吃音をカミングアウトしても、「知っているか」「知らないか」の2択

「どうした、緊張してるんか?」「ちゃんと言えへんの?」と言われることは多かった。

相手は吃音になったことがないのだから当たり前だ。言葉なんて話せて当たり前だと思っている

だからこそ、会話や電話で詰まるとポッとそんな言葉が出るのだろう。

そういう場面に遭遇すると笑って誤魔化すのも馬鹿らしくなってくるので、いつの間にか「吃音なんです」と言うようにしていたが、基本的に効果はない。

何しろ、相手が吃音を知らないからだ。

ある一定の立場で、研修やら何やらを受けた人の中には、吃音を知っている場合もあった。

だが、何となく働いていて何となくその立場になった人は、大体知らない。

「おう」「そうか」と言われるだけで終わる。

そういう場合は、同じことの繰り返しだ。

言っていて馬鹿らしくなる。

そんな相手が上司だった場合は、逃げた方が良い。

自分が吃音だと勇気を出してカミングアウトしたところで、理解されずに不機嫌になられる場合の方が圧倒的に多い

人は、自分が経験したことしか理解できない。

真に理解してもらうのは不可能だと割り切るべし。

期待するだけ無駄だ。どれだけ理解してくれても、態度は健常者と同じなので、自分の身は自分で守るしかない。

吃音は理解されにくい

障害の中でも、言葉の障害はなかなか理解されにくい。

目に見えてそうだとわかる障害は、まだ共感は得やすい(それでもまだ問題はあるけれど)。

吃音の場合は、「まともに喋れない」苦しみを理解できない人が多い。

そのため、容易にからかえるし、バカにできる。

口が動いているのに、言葉を喋れないなんておかしい。

めちゃくちゃ端折るが、そんな理屈だ。

吃音は全人口のおおよそ1割程度でしかない。

自分の周りは、みんな言葉をスムーズに喋れて当たり前の世界で生きている。

そのことを自覚した上で、社会に出て働かなければいけない。

医療関係の仕事もしていたが、医者とて同じだ。理解されたことは一度も無い。

もし救いを求めるなら、吃音の専門医などを自分で探してみたり、カウンセリングを受けたりした方が良い。

吃音を持っている人が駆け込む場所は増えている。

理解されない人が多い場所からは距離を置くことを心がけよう。

痛ましい事件にならないことを節に願う。

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吃音がしんどいなら逃げろ

人生は一度しか無い。

自分がしんどいと思ったら、逃げるべきだ。僕は逃げた。

いろいろな仕事を経験しているのも、「いろんなものに興味を持つ」以外に吃音だからという理由がある。

仕事をしていて、吃音が苦になり始めたら、大体逃げるように転職をする。

逃げないで頑張ったら自己嫌悪で鬱になったからだ。

今時、ひとつの仕事で3年頑張る意味は全く無い。身につけるスキルも1年あればほぼ身につく。

なら、いろんな仕事をしてみればいいし、その結果、自分にとって面白いと感じる仕事と出会ったなら頑張ればいい。

どうしてもやりたい仕事でない限り、逃げるべきだ。

命あっての物種。

転職理由を聞かれたら、堂々と「吃音に理解がない場所だったからです」と言えばいい。

結果、それで落とされた場合は縁が無かっただけのこと。

吃音の場合、みんな総じて「人と喋らずに黙々とできる仕事」を好む傾向にある。めちゃくちゃわかる。

喋らずに済むというのが、とんでもなく快適なのだ。だって吃音が出ないんだもの。

工場のラインや裏方など、なるべく喋らないでいい仕事を選ぶのがオススメだ。

もし職場が理解を示してくれたのなら、その部署に異動してもいい。

以下のサイトに業種別の実例が載っているので、参考にされたし。

東京吃音改善研究所
吃音がある人の仕事の実情【みんなどうやって仕事をしているのか?】 吃音症がある人は仕事で悩むことが多い   どこの国でも100人に1人と言われる吃音症。 吃音がある人は学生時代には主に発表や音読など学校でやるべきことで悩むことが多...

まとめ:吃音は自分で環境を整えなければならない

吃音を持っているだけで、仕事の幅は狭くなる。

自由に会話ができない、というのはそれだけで大きなハンデだ。

まして世の中で理解してもらうにはなかなか難しい。

理解してもらえたらラッキーくらいで考えておこう。そんな事無いよって人は、恵まれているのだ。

吃音で追い詰められるくらいなら、いっそ環境を自分で作ってしまった方が良い

僕は、言葉に対してずっとコンプレックスがあった。誰もが自由に話せる中、自由に話せないコンプレックスがずっとあった。

だから、こういう文字で表現する世界に飛び込んだ。

すると、話すことは苦手なままだが言葉は好きになった。

今では、不特定多数の人と話すことがなくなってストレスを感じなくなったし、精神的にも回復した。

僕が吃音だと知っているのは一部の人だけだ。家族もたぶんもう治ったと思っている。それくらい、外に出さないようにしている。

吃音歴が長いと、誤魔化すことばかりが上手くなる。それがまた嫌になる。

吃音は目に見えない障害として、時には人を自殺にまで追い込むが、自分にとってベストな環境は作れるのだと思って、生きてもらえればと思う。

生きていれば何かしらできるので、「あ、ダメだこれ」と思ったらすぐに逃げよう。

逃げるのは恥でも何でも無い。

同じ吃音の仲間を見つけるのも良いだろう。今はSNSなどでも交流があるので、コロナ禍が落ち着いたら参加してみるのもアリだ。

自分が生き生きと活躍できる場所を探してもらえれば、と吃音を持っている身として節に願う。

以下に、吃音をテーマにした良著を貼っておく。

吃音の方、吃音に興味のある方、また知り合いに吃音の人がいる方には是非一度、読んでもらえれば幸いである。

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