低価格万年筆は、万年筆を今まで使ったことのない人向けに考案されて発売されている商品だ。手を出しやすい上に、万年筆を好きな人が買っても満足のいく商品であることが多い。何とも嬉しいものである。
しかし低価格万年筆は様々な商品が発売されている。どれを選べばいいのかわからないという人もいるだろう。そこで今回は、前回紹介したプレジールと同じ価格帯の「ハイエース ネオ」を紹介したいと思う。
- スタイリッシュなデザインの万年筆を探している
- 万年筆らしくないデザインの万年筆を使いたい
- 初心者にオススメの万年筆ってある?
そんな人の参考になるだろう。なお、1年以上使った感想にはなるが、個人的にこのハイエース ネオ、めちゃくちゃお気に入りである。
セーラー万年筆『ハイエース ネオ』はスタイリッシュで使いやすい万年筆
セーラー万年筆の「ハイエース ネオ」は、1,100円(税別)で購入できる低価格帯の万年筆だ。万年筆独特のぽっちゃりしたデザインではなく、スラリとしたボディなのが特徴。
アルミ✕樹脂製のボディなので筆箱に入れても傷がつきにくいから、手軽に持ち歩けるのが魅力だ。以下のような万年筆だと、どうしても傷がついてしまわないか心配になって別の筆箱を持ったりするからね。

他のペンと接触して傷つかないか心配になる
しかもパッと見はキャップ式のボールペンだから、人前で書こうとすると「おっ?」と思われる可能性もある。それはそれでちょっと嬉しい。おまけにコンバーターとカートリッジの両方を使えるから、自分が使いたいように使えるのも魅力と言える。
もちろん万年筆らしく衝撃には弱いので、落としたりすると機構が壊れる可能性がある。僕はそれで1本壊してしまった。注意。
取扱にさえ気をつければ、場所を選ばず使える1本となってくれるのは間違いない。
セーラー万年筆『ハイエース ネオ』レビュー

ではハイエース ネオのレビューをしていく。1年以上使った上でのレビューとなるので、使っていると感じるであろう感覚と同じと思ってくれていい。
さっそく見ていこう。
スラリとしたデザイン
ハイエース ネオは、プレジールにも見られるような少し丸みを帯びた形をしておらず、直線的な形をしている。手にした感触は、キャップ式の高級ボールペンに一番近い。写真のハイエース ネオは黒と銀のデザインだが、仕事で使っていても見劣りしないところに惚れた。
実際、書こうとしてキャップを外した時に「それ万年筆やったん!?」と言われたことが何度かある。反応が面白かったのはここだけの話。
個人的には20歳~30歳くらいの若いビジネスマン(ビジネスウーマン)にはオススメしたい。100円のボールペンから背伸びしたい人には、購入しやすくデザイン面でも優れている良い相棒になってくれる。
カリカリした書き味
セーラーの万年筆に共通することだが、ハイエース ネオも同様に書き味は「カリカリ」している。先端が紙に引っかかるような書き味なので好みは分かれるだろうが、その分インクフローは絶妙で、変にドバッと出たりもしない。紙質も選ばないので、どんな紙に使っていけるのも強みだ。
1万円以上する万年筆を何本も買っているが、たまに味わいたくなる良い書き味となっている。この辺りの調整はさすがセーラー万年筆。長く使っていくものだからこそ、ストレスを感じない書き心地は大切だ。
一方でジェットストリームのような滑らかな書き味が好きな人にはオススメできない。ハイエース ネオの書き心地はボールペンの0.38mmのような感覚なので、どうしても滑らかとは言えない。書き味を重視する方は気をつけた方が良いだろう。
ペン先(ニブ)はステンレス

低価格万年筆なので、ニブは当然ステンレス。いわゆる鉄ペンだ。セーラー万年筆のイカリマークももちろん顕在。このマークが好きなのは僕だけだろうか? いや違う。
ステンレスなのもあって、
インクはカートリッジとコンバーター(吸入式)の両方が使える


個人的にどちらも使えるのはかなり大きい。カートリッジとコンバーターを比較すると以下になる。
種類 | 使いやすさ | コスト |
カートリッジ | ○ | 高 |
コンバーター | × | 小 |
カートリッジの方が取り回しは便利なのだけど、コストはかかる。反面、コンバーターだとインクボトルからインクを吸入する手間が増える代わりに、コストはかからない。自分の好きなインクを使いたい場合はコンバーターが使えるかどうかは大事な要素になってくるので、ここは大きいポイントだ。
ただインクはほとんどがボトルインク――つまりコンバーターで使うことを前提としているので、インクを楽しみたい人はコンバーターがオススメ。毎回洗浄をする手間はかかるが、カラフルなインクを楽しめるのは万年筆ならではだ。セーラー万年筆のインクを楽しみたいのなら、ハイエース ネオはピッタリと言える。
余談だが、顔料インクも問題なく使える。

ペン種はFのみ
ハイエース ネオのペン先(字幅)は細字のFのみとなっている。
一般的に、日本語を書くならFの字幅が一番だとも言われているので、実用性を重視したのだろう。
インクの滲みやすい紙だと余計に字幅が太くなってしまうため、メモ書きや手帳で使う場合はF(細字)が一番使いやすいのだ。
インクの乾きやすさは普通
ハイエース ネオは、全く使わない状態なら、1週間くらいは使える。
キャップをカチッと閉めるタイプ(嵌合式)の万年筆では、どうしても密閉度が低くなってしまう。
しばらく使ってないと、万年筆の内部でインクが乾いてしまうので、なるべく使うように心がけた方が良い。特に顔料インクは乾くと詰まるので、余計に使うようにして欲しい。
セーラー万年筆『ハイエース ネオ』は押さえるところをしっかり押さえたお値段以上の万年筆
廉価な万年筆特有にはなるが、製造コストのために削れる場所はとことんまで削っている。余計な物をそぎ落とした結果、1000円という金額で生まれたのがハイエース ネオだ。
デザインをガラリと変えて1万円以上する万年筆と違いを表現しつつ、カートリッジやコンバーターを使えるようにし、嵌合式のキャップを採用。
これだけでセーラーがハイエース ネオに求めるものが伝わってくる。
万年筆と日常使いしたい人の第一歩としてオススメしたい逸品である。
以下にリンクを貼っておくので、気になった人は一度チェックしてみてくれ。